「ファーザー」
以前から観たいと思っていた介護の映画で、介護する側からを描くのではなく、認知症その人からの世界を映画にしたもの。よかった、これはオススメ映画。
主役の父親が認知症で、全ては家(フラット)の中で展開される。眼の前にいる人は誰なのか、娘なのかそうではないのか、この話は正しいのか正しくないのか、侵入者か盗人なのか、娘の夫なのか恋人なのか、見ている方も混乱する。同じ顔の見覚えのある人が、違う人として存在する。
前に、介護福祉士でもあるoibokkeshi(劇団)の菅原直樹さんにワークショップで聞いた「認知症の人の言動はいつだって本気だから、介護者はそれに合わせて演じるように寄り添うと楽になります」という言葉。そこから介護を演劇にでサポートすることをしている彼の言葉の意味がよくわかった。
けれど、大半の人は認知症の言動に悩まされていく。
まずは地域包括支援センターに相談して、対応できる人の助言を聞こうね。
何もわからない自分だけで悶々としているよりは、何もわからない人同士で悩んでいるよりは、解決の糸口が見つかるかもしれない。
そういえば関係ないけど、この前やっていたTV番組で、80年代のお父さんたち(男)の女性の扱い方、男女の立場的物言いに辟易していた。いわゆる女なんて学もなく地位もなく、家事だけしていればいい的な物言い。
いまは男性も家庭に入り込んで、家事育児に協力するようになったけど、まだ介護の世界は「女性がするもんだ」という風潮があると言っていたな。家庭の事情で、男性が介護をする場合もあるが。
映画の中で苦悩していたのは、実の娘。
それを見ると、私の場合、親父相手にこんな態度は取らないんだろうなあとも思う。
亭主関白のひどい頑固親父が認知症になったら、まず娘の私のことを一番に忘れてほしい。
そんな父親である。
